負けじ魂、ここにあり!

スポーツの世界では、必ず勝者と敗者がいる。

勝って次の高みを目指すのだ。負けても自分に負けなければ、それ自体、勝ちに等しい。

彼は、大学3年の春に右足靱帯断裂という大怪我をした。「全国体育系学生柔道体重別選手権大会」に準優勝した後のことだった。全国一を目指すアスリートしては致命的であったに違いない。

次の年、3.11の大震災の春には卒業を控えていた。彼は、新たな希望の出発もなかった。しかし震災の時に卒業したのだ。

「いかなる困難にも断じて負けない」という誇りは更に自分を強くした。

だが、試練はそれだけには終わらなかった。

昨年の3月に、今度は左足の靱帯も断裂したのだ。この夏の「全日本実業柔道個人別選手権大会」にはエントリーさえも出来なかった。

そして、今年の夏の大会。

最初の大怪我から、3年半を過ぎた今、不倒・不屈の負けじ魂は、4回選まで、オール1本勝ち。準決勝で敗れたが「講道館杯」出場という栄冠を彼は、彼自身の手によって獲得したのだ。

表彰式には、同じく3位入賞の「野村忠宏」(38歳・五輪3連覇) 選手から先に前に行くように言われた。若い選手を育てたいという彼の人柄を感じたという。

ホイットマンは詩たった「さあ、もはやここにはとどまるまい。いざ錨をあげて船出をしよう」

次への挑戦の時は始った。

全日本実業柔道個人別選手権大会

全日本実業柔道個人別選手権大会表彰式

表彰式 (兵庫県尼崎市・ベイコム総合体育館) 右から、仲村・野村(3位)、石川(優勝)、矢野(準優勝)  2013年8月31日